オリーブオイルは加熱する?しない?
オリーブオイルは加熱料理に向いている・・・?
エキストラバージンオリーブオイルのように良いオイルを加熱してしまうのは
「もったいない」ということからエキストラヴァージンオリーブオイルは
『生』で食べなければならないという考え方が広まったようです。
地中海沿岸諸国では、オリーブオイルはそのままで食されるのと同じくらい、
野菜、肉、魚の加熱調理にも多く消費されています。
植物油や動物脂は、過熱すると加水分解を起こします。
専門的に言うと、「遊離脂肪酸とグリセリンに分解され、グリセリンはさらに加熱されると
酸化し、神経、肝臓にダメージを与える物質を発生させ、危険性を伴います。」
しかし、オリーブオイルは加熱による酸化に対して強い性質を備えているため、
この危険が他の油脂に比べかなり少ないのです。
イタリア農水省の化学技術部門がオリーブオイルと、それ以外の植物油を使って、
どちらが揚げ物に適しているか、という実験をしました。
高温加熱でオイルが劣化すると発生する典型的成分がアクロレインです。
実験は「3ℓ入りの家庭用フライパンで、1回につき600ℊのジャガイモの薄切りを
190度で30分揚げて取り出し、油をいったん常温に戻す」ことを何回繰り返したら
アクロレインが発生するかを調べるものでした。
他の植物油が最初からアクロレインを発生させたのに対して、
オリーブオイルは6回目から。(※図1)揚げ物の嫌な匂いが出たのは、大豆油が3回目から
コーン油が4回目、サフラワー油とグレープシードオイルが7回目、ピーナッツオイルが9回目、
そしてオリーブオイルは15回目過ぎからと、オリーブオイルの安定度はずば抜けていました。(※図2)
これはオリーブオイルが抗酸化成分を多く含むフレッシュなオイルであるのに対し、
他の植物油は種子から精製されたシードオイルで、抗酸化成分が少ないためです。
もちろん、オリーブオイルも揚げ物に使ったらきちんと漉して冷暗所で保管し、
できるだけ早く使い切る方が望ましいのは、あらゆるオイルと同じです。
●揚げ油に適した油の判断基準
1.オレイン酸の油を選ぶ
オレイン酸は、植物油の主成分である脂肪酸の一つ。同じ不飽和脂肪酸であるリノール酸や
αリノレン酸などよりも酸化しにくい油のため、揚げ物に適しています。
2.常温で液体であること
脂質には、「油」と「脂」の2種類があります。「油」とは、常温で液体のもの。
(魚油やオリーブオイルなど)「脂」とは、常温で固体のもの。(バターや肉の脂身など)
常温で液体なのは、不飽和脂肪酸のリノール酸やαリノレン酸、オレイン酸を多く含む油です。
オリーブオイルの脂肪酸の成分は約10%が飽和脂肪酸、約80%がオレイン酸、約10%がリノール酸等です。
オリーブオイルは、上記の条件を満たしており、揚げ油には最適だと考えられます。
また、揚げ物の際、他の油脂は素材の中にまで浸透してしまいますが、オリーブオイルは素材の表面に止まり、
素材にすばやく熱を通すので、油っぽくならずにカラっと揚がります。そのため、素材の持ち味も活かす事が出来ます。
油を含んだまま食べる揚げ物だからこそ、揚げ油に最適なものを選ぶ必要があります。
揚げ油こそ、質が大切なのです。
参照:オリーブオイルのすべてがわかる本 /奥田 佳奈子著