ギリシャの伝統衣装「フスタネラ」
ギリシャの伝統的な衣装と言えば、男性の“スカート”が有名です。
男性が着るスカートのような服は「フスタネラ」と言い、
現在でも、ギリシャの儀仗部隊エヴゾネスの衣装や、
民族舞踊の衣装として着られています。
「フスタネラ」の起源は古代ギリシャまでさかのぼり、
神話の英雄や辺境守備隊の象徴とされていました。
その後、オスマン帝国の支配下では山賊やその対策部隊が着用。
独立の気運が高まる18世紀から19世紀初頭には、民族全体の象徴となりました。
「フスタネラ」の丈も時代と共に変化しました。
19世紀頃には膝下丈だったのが、オスマン帝国から独立し
ギリシャ王国となってからは、膝上丈まで短くなり
現代でも目にするポンポンを飾った靴を合わせるようになりました。
この靴は「トラルヒ」と言い、“ポンポン”は独立戦争のころに
暗器として靴に隠したナイフの刃先を隠すためのものの名残だそうです。
そもそも、古代エジプトでは男女共に腰に布を巻く衣装が一般的で、
いわば、男性も巻きスカートを履いているような感覚でした。
世界最古のズボンは3,300年前のもので、中国で遊牧民が騎乗する際に
着ていたものと考えられており、その後ヨーロッパに伝わったことで
「馬に乗りやすい服装」として広まり、男性にズボンが流行ったとされています。
動きやすい服装として広まったズボンではなく、
古代ギリシャから続く伝統的な「フスタネラ」が
今なお儀仗部隊の衣装として着られているのは、
ギリシャの歴史を感じ取れる素敵な文化です。